『それじゃあ……最初はどこに行こっか！ 歌姫ちゃんはどこに行きたい？』

『うーん……私は、絶対にここ！って場所はないかな。 今はなんだっていい経験になりそうだし』

『そうだねえ。 では、座長の意向を聞いてみようか』

『ふむ、そうだな……む？ こんなところに張り紙があるぞ』

『なになに……”募集！　共にショーを作る者！” おお、どこかの劇団が公演のために人を集めているようだ』

『これはおあつらえむきだな！ 錬金術師はどう思う？』

『そうだねえ……ああ、この劇団なら、 名前を聞いたことがあるよ。とてもいいショーをやるらしい』

『そうなのか！ ならば、決まりだな！』

『次の目的地は、 この劇団がある街だ！』

『お～っ！！』

『……こうして旅の一座は、 次の街に向かったのでした』

『果たして次はどんなできごとが 彼らを待っているのでしょうか？』

『次回へ～つづくっ！』

……うむ！ 即興にしては、なかなか良かったのではないか？

そうだね。まあ、次回へ続く！という形で終わるショーは あまりないけれど……

このショーに限っては、 こんな風に続いていくのもいいかもしれないね

うんうんっ！ ミクもそう思うっ！

ふふ、たしかにね

えへへ……

ん？　どうしたの、えむ

あ、えっと……嬉しいなあ！って思ってたの！

『行っておいで』ってお兄ちゃん達に言ってもらうまで、 あたし……みんなと練習するの、ちょっと悲しかったんだ

みんなと一緒に練習できて嬉しいのに、 ……もうすぐ終わっちゃうんだなあって

昔、お日様が沈んじゃうのを見てた時みたいな…… そんな感じがしてたんだ

えむ……

でもね！　今は大丈夫！

ちゃんと嬉しいこと、嬉しい～！って感じるよ！

……フフ。 僕もえむくんがそう感じてくれて、嬉しいよ

うん……！

えへへっ☆　嬉しいがいーっぱいだね！！

あ、ねえねえ！ それじゃ、みんなの嬉しいを歌おうよ！

そうね！　私も賛成！ 嬉しい時は、全身で表現すると、もっと嬉しくなるもの！

それじゃあ……あれはどう？　えむ

あれ？　あ……うんっ！

みんなで、あれを歌おう！ 用意はいい？

『ああ！』

『うんっ☆』

それじゃ、いっくよ～！！

『セカイはまだ始まってすらいない』！！

ふふっ……えへへっ！

みんなー！　聴いてくれて、本当にありがとう！

あたし、これからいっぱいがんばる！ みんなと外に行って、いろんなこと勉強して——

それでいつか……お兄ちゃん達と一緒に、 あたしの夢を叶えるよ！

だから……

みんな、その時までまた、よろしくね！

『ああ！』

『うん！』

しかし……胸が躍るぞ！ このメンバーで、新たな冒険へと旅立てるのだからな！

冒険って……ちょっとオーバーでしょ

けれど、未知の世界へ飛び込むという意味では、 冒険と言えるかもしれないね

まあ、たしかにね。 ……きっと、前みたいに苦しいこともあるかもしれないけど……

でもみんなで助けあって、 乗り越えていきたいな

うんっ！

……あっ！！

あら？　えむちゃん、どうしたの？

冒険に行くなら、ちゃんと準備しなくちゃだよね！ 持ってくものリュックに詰めなくっちゃ！

う、うん？

何入れてけばいいかな！？ あ、パスポートとか！？

ちょっと、どこまで行くつもり？

どこまで？　んーっとんーっと……

じゃあ——世界中に行ってみたいな！

……ふふ、えむはそうではなくてはな！

それでは我々も、準備をするとしよう！ 持ち物を……というよりは、これからの方針の相談になるがな

そうだね。 よければミクくん達も、手伝ってくれないかい？

僕達の冒険地図を作ることをね！

——うん！　もっちろん！