えっとえっと……！　だから、その……！

勝手に聞いちゃって、ごめんなさいっ！

あー！　そんな謝らないでよリンちゃん！

たしかに、大河おじさんと歌ってた時から 全部見てたっていうのはびっくりしたけど……

でも、大丈夫だよ。 みんなにも、ちゃんと話すつもりだったからさ

杏ちゃん……

あ、でも、泣いたのを見られたのはちょっと恥ずかしかったかも？ 私、顔グチャグチャになってたし

え！　全然恥ずかしくなんかないよ！

え？

だって、杏ちゃんはそれぐらい、 凪さんのことが大事だったってことでしょ！？

あ……

……うん、そうだね

凪さんは私にとって……すごく大事な人で…… だから……

だから——絶対応えたいんだ。凪さんの想いに

……うん！

わたしも応援する！ 歌の練習も一緒にするし、体力作りとかも手伝うし、えっと……！

あ！　みんなが元気になれるように、 新作のサンドイッチも作るよ！

あははっ、それは楽しみだな～！ 前食べたマスタードソースのやつも、ほんと美味しかったし！

えへへ、ありがとう！ 新作にも期待しててほしいなっ！

うん！ あ、でも……トマトは入ってないヤツにしてね！

もっちろん！　まかせて！

あ！　よかった……！

白石、やはりここにいたのか

あれ？　みんな、どうしたの？

どうしたもこうしたも……さっき謙さんから、 お前が家にいねえって連絡きたんだよ

つーことは、もしかしたら セカイに来てんじゃねえかって、探しにきたとこだ

……あ、そっか！ そういえば父さんに一言言っておくの忘れてたな

いろいろ心配してくれてると思うし、 そろそろ帰らないとだけど……

その前にさ、１曲歌っていかない？

さっきリンちゃんと話してたら、 凪さんの気持ちに応えたいって気持ちがまたわいてきて……

今なら、すごくいい歌が歌えそうだって思ったの！

……そうか。 それなら、歌おう

うん！

リンちゃんも一緒に歌ってくれない？

もっちろん！

ありがと！ じゃあいくよ！　——『街』！

はぁ……思いっきり歌えた～！

やっぱりみんなの歌、最高だねっ！ まっすぐで、胸にグサーって刺さって……

ほら、見て見て！ こんなに盛り上がってるよ！

わ……！ 聴いてくれてありがとう、みんな！

ありがたいな。こうやって歌を聴いてもらえるというのは

だな。……いろんなことがあっただけにな

……うん。 本当に……本当に、いろんなことがあったけど……

——私達はもっと、今よりずっとうまくなるから！ だから、また私達の歌を聴きに来て！　約束だよ！

……ふふ、私達の歌、凪さんにも届いてるといいな

……うん。そうだね

きっと……ううん、絶対！　絶対絶対届いてるよ！

だって、こーんなにいい歌なんだから！

あはは！　ありがとう、リンちゃん！

——よし！ それじゃ、そろそろあっちに戻らないとね！

戻ったら父さんに言わなくちゃ。 『私は、大丈夫だよ』って

みんな、今日は歌を聴いてくれてありがとう！ またね！