——それでね、今度は一緒に 外のご飯にも行こうって話したの

ふふ、ふたりとも、楽しめたみたいだね

あれ？　愛莉ちゃん、雫ちゃん、もう来てたんだ

ええ。練習の前に、カイトさんに 報告しておきたいことがあってね

あら、そうだったのね。 とっても盛り上がってたみたいだったけど、 どんな内容だったの？

実はね、このあいだ話した あゆみって友達のことなんだけど……

ふふ、私と、愛莉ちゃん、 それにあゆみちゃんで一緒にお昼を食べたのよ

愛莉だけじゃなくて、雫も？

ええ。愛莉ちゃんの話を聞いて、 私も仲良くなりたいなって思って お邪魔させてもらっちゃったの

そうだったんだ！　 ふふ、よかったね、愛莉ちゃん、雫ちゃん

ええ！

ふふっ、そのお友達と仲良くできてるみたいでよかったわ

そうだね。 でも、愛莉はすごいな

私は……アイドルでいる以上、関係が切れちゃったら 修復するのは難しいことなんだって、 どこかで思ってたから

遥ちゃん……

まあ、そうね……。 正直、わたしだってまだ怖い気持ちはあるわ

そうなのかい？

ええ。だって、昔みたいに話すようになったって言っても、 忙しいのは前と変わらないし……

昔みたいに、また距離ができちゃうんじゃないかって 怖くなったりもするわ

愛莉ちゃん……

……けどね、今は大丈夫だって思えるの

あら……どうして？

たしかに、一緒にいられる時間は少ないけど——

今は、お互いに『友達でいたい』って 思ってるのがわかってるから

だから、きっと大丈夫なのよ。 これから先、不安になる時があっても

愛莉……

わたし達はもう、初めて会った頃みたいに、 毎日話したり、よく一緒にどこかへ出かける ような関係じゃないけど……

それでも、新しい形でわたしはあゆみと これからも友達でいられるんだって、今はそう思ってるわ

想いを伝えあったことが、愛莉ちゃんの力になったんだね

ええ！　これも、きっとまだつながりは残ってるって 言ってくれたカイトさんのおかげよ。 本当、ありがとう

あはは。僕はただ、 自分の思ったことを言っただけだよ

だって……悲しいじゃないか。 アイドルでいるために、大切な友達とのつながりを 諦めなくちゃいけないなんて

みんなに希望を届けるアイドルが、 悲しいことの上に成り立ってるなんて、 僕は信じたくないな

それは……

……そうね。カイトさんの言うとおりだわ

わたしも、アイドルでいるってことは、 楽しくて、嬉しくて……キラキラしてるものだって信じたい

……ふふ、なんだかまたカイトさんに 教えられちゃったみたいね

あはは、力になれてるなら何よりだよ

こんなにお世話になってるんだし、 やっぱり言葉だけじゃなくて……何かお礼をしたいわね

でも、何がいいかしら

う～ん、それなら、１曲歌ってほしいな

歌？

うん！　アイドルが歌って踊ってる姿を見るのが…… 僕は何より大好きだからね！

ふふ、カイトくんらしいわね

それなら、私も一緒に歌ってもいいかしら？ 愛莉ちゃんの話を聞いてたら、 私も歌いたくなってきちゃった♪

ほんと！？　嬉しいわ！

愛莉ちゃん、私達もいいかしら

一緒に歌いたいな！

ありがとう！　それじゃ、みんないくわよ——

『ももいろの鍵』

う～ん！　さいっこうだったよ、みんな！

みんなを想う愛莉ちゃんの優しい気持ちと、 前に進むみんなの決意が伝わってきたよ

私も……気が引き締まった気がしたな

ええ、そうね。 みんなで同じ想いで、同じ方向を向いて—— 新しい扉の鍵を開けた感じがしたわ

これからも、みんなで一緒に進んでいきましょう

『うん！』

『ええ！』

ルカちゃんも、一緒に歌ってくれてありがとう！ すっごく心強かったよ！

こちらこそ、みんなと歌えてすっごく楽しかったわ♪

……と、そうだわ

——聴いてくれたみんなも、ありがとう！

——わたし達の環境は、 これからどんどん変わっていくと思うわ

それはすごくいいことでもあるんだけど、 今回みたいに悩んだり、みっともないところを 見せちゃうかもしれない

けど、ドームライブの目標に向けて、 やれることを全力でやっていくつもりよ

だから……、これからもわたし達を 見守ってくれると嬉しいわ

それじゃあみんな、またね——！