ミクちゃんがお散歩に誘ってくれるなんて、めずらしいね

え？　そうかな？

うん。みんなとの待ち合わせまで時間あったから、 嬉しかったけど……でも、突然どうしたの？

大した理由じゃないんだけど、 今日のこはね、すごく元気そうだったから。 発散するなら、体を動かすのが一番かなって

え？

なんていうのかな。 エネルギーがありあまってる、って感じ？

目の下のくまも綺麗になくなってる。 昨日のイベントが終わってから、ぐっすり眠れたんだね

あ……うん。昨日帰ってきてから、 今日の夕方まで眠っちゃって……

——でも、休みすぎちゃったのかな。 今まで忙しかった分、急に時間できたら落ち着かなくて……

ふふっ。だから今日は元気そうだったんだ

その様子だと、昨日のイベントは大成功だったんだね

うん。今まで感じたことないくらい熱くできたし、 オープニングアクトもうまくいったよ

大河さんにも褒められたんだ。 歌ってる途中に、いい歌だ！って言ってくれて……

へえ、そんなにすごかったんだ。 私も聴きたかったな

それで……ソロで歌ってみて、 大河さんの言う『大事なもの』には気づけた？

あ……たぶんだけど、わかったと思う

私達の歌に、大事な気持ち——

私達の歌を聴きたいって思ってくれる人達がいて、 その人達に、私も聴いてほしいって思う——その気持ちが 大事なんだって、そう感じたんだ

……なるほどね。 それなら、ソロで歌った甲斐があったね

うん。勇気をだしてやってみてよかった

……大河さんが行っちゃう前に間に合って、 本当に、よかったな……

……？　こはね、それって——

ああ、こんなところにいたのか

やっほー、こはね、ミク！

あ、みんな！

散歩に出かけたってメイコさんが教えてくれたから あとを追ってみたんだが……結構遠くまで来てたんだな

ね、ふたりで何話してたの？

オープニングアクトのこととか、いろいろね

……ああ。 小豆沢が最初に『ソロでやりたい』と言った時は、驚いたな

けど……気になってたんだが、今回のお前 妙に気合い入ってただろ。なにがあったんだ？

あ、それはね……

さっきミクちゃんにも言おうとしたんだけど、 実は大河さんが、もうすぐアメリカに帰っちゃうみたいなんだ

え！？

そうか、大河さんが……

うん。だから……

大河さんに歌を聴いてもらう機会なんて もうないのかもって思ったら……私、頑張りたくて

今まで見てもらった練習の成果を、 ちゃんと全部だしたかったから

そうだったんだ……

小豆沢が大河さんから教えてもらったことは、 しっかり実ったんだな

うん！

——じゃあ杏も、彰人も冬弥も、 立ち止まってられないね

……そうだな。 オレ達も……負けてられねえからな

ああ……

…………あ、ねえ、みんな……

ん？　どうした？

えっと……昨日の熱さが、まだ忘れられなくて……。 よかったら歌いたいんだけど、いい？

きっと今なら、すごくいい歌が歌える気がするんだ

うん、いいよ。 私も今のこはねの歌が聴きたいし

それに……もちろん、みんなも付き合ってくれるでしょ？

ああ、当たり前だ

……うん。やるに決まってるじゃん！

そうだな。俺も、昨日の熱さはまだ忘れられない

やった……！　ありがとう、みんな！ それじゃ、歌おう！

——『Ready Steady』！

はあ、気持ちよかった……！ 付き合ってくれてありがとう！

…………これが、今のこはね達の歌なんだ。 びっくりしちゃった。本当にすごいね

ううん。ミクちゃんが支えてくれたから、 いつも以上の力が出せた気がするよ

そうなの？ ——ふふっ。やっぱりこはね達と歌うのはおもしろいな

こはね達のイベントがどれだけ熱くて、 どれだけドキドキしたのか…… なんだか、歌を通して伝わってきた気がする

——ねえ、みんなも感じられたんじゃない？

わ！　……嬉しいな。 みんな、ありがとう

私達、これからも夢のために歌っていくよ。 だから、みんなも見守ってくれたら……嬉しいな

それにしても、今回のイベントで、 私達、また一段とRAD WEEKENDに近づけた気がするよね

そうだな。それにCrawl Greenのオーナーにも、 いいイベントだったって認めてもらったしな

ああ。きっと……いや、必ず—— この熱さの先に、RAD WEEKENDがあるはずだ

うん。……うん！ 私達でRAD WEEKENDを超えようね！

そんじゃ、そろそろ反省会やるか

どこでやる？　……あ、そういえば、 メイコさんが暇そうにしてたよ？

ルカもしばらく見ないし、カイトはリンとレンに DJ教えてるし……ちょうど暇なんだよね。 よかったらみんなで来てよ

じゃあ、メイコさんのカフェでやろっか？

『ああ』 『うん！』