——あ、まふゆ、ミク！ ここにいたんだ

もう、あんたの誕生日を祝うための準備を みんなしてくれてるんだからね？

主役がさっさと来てくれないと…… って……なんか、顔色悪くない？

……別に

でも……まふゆ、なんだか疲れてるように見える

あ、ミクもそう思う？ もしかして、家で何かあった……とか？

何も……ただ、誕生日のパーティーをして、 将来の話とかをしただけ

ふーん……。 まあ、詳しく話したくないなら別にいいけど……

今のあんたを見たら、奏やレン達が心配するでしょ。 もうちょっとマシな顔になってもらわないと

……どうやって？

え？　そりゃ……なんか適当にしゃべったり、 気晴らしに何かするとか……

そうだ！　ネットでは結構有名なアパレルブランドが、 ついに駅前のビルにお店を出すらしいんだけど……

……興味ない

だよね……

……あの、絵名、まふゆ……

何？　ひょっとして、いい案が浮かんだ？

あ……。えっと……

まふゆが、あんまり話したくないなら……。 一緒に歌って、想いに触れさせてほしいなって……

……それくらいなら、いいよ

じゃあ、私も歌う

どこまで感じられるか、わかんないけど……。 あんたの暗い顔、見なかったことにもできないし

……わかった

じゃあ……。 ——いくよ

まふゆ、絵名、見て。 みんなも、わたし達を見守ってくれていたみたい

本当だ、いつの間に……

みんな、聴いてくれてありがとね。 ……ほらまふゆ、あんたも

……ありがとう

あ……まふゆ、いつものまふゆになった気がする

うん、少し楽になった気がする

——あ、いたいた！ おーい、みんなー！

ここにいたんだね。 絵名も戻ってこないから、気になって探しにきたんだ

ごめん、ふたりとも。 ちょっといろいろあって……

ねえ。ちょうど集まってくれてるみんなもいるし、 まふゆのお祝い、ちょっとだけしない？

あ……みんなも、したいみたい

おー！　ノリいいねえ！ やっちゃおうやっちゃおう♪

オッケー！　それじゃあ——

まふゆ、誕生日おめでとう！

『おめでとう！』

『おめでとう』

……なんだか、家でやった誕生日パーティーと違う気がする

そりゃ私達もいるし、これだけ大勢にお祝いされたら、 感じかたも違ってあたりまえでしょ

それより、みんなにお礼言わなくていいわけ？

……今日は私の誕生日を祝ってくれてありがとう

みんな、まふゆのお祝いができて、 とっても嬉しそう

そうなんだ……

ていうか、今日の主役はまふゆなんだから もっともっと楽しんでもらわないとね！

うん。レン達がそろそろ準備を終わらせてると思うし、 わたし達も戻らないと

……わかった

……絵名、ミク

ん？

…………一緒に歌ってくれて、ありがとう

『どういたしまして』