……瑞希、ここにいたんだ。 今日の主役が逃げたって、絵名が怒ってるよ

え？　逃げたはひどいなぁ

パーティーのお菓子食べすぎちゃったから休憩してくるって ちゃんと言っておいたのに

そう……。 でも、みんな探してるから戻らないと

……瑞希？　まだ休憩したいの？

ん～……。それもあるけど……。 もうちょっと、浸っていたいんだ

……何に？

あったかさだよ

まふゆは経験ない？ みんなと一緒にいる時より、ひとりでいる時のほうが みんなを強く感じるってこと

ひとりなのに、みんなを……

……わからない

そっかぁ……

——瑞希

ん？

それ、本当にあったかいの？

うん。ボクはそう感じるよ

なんて言えばいいのかな……。 離れていても、感じる的な？

そばにいてもらうのが一番あったかいし、居心地いいんだけど、 それが当たり前だと思いたくないっていうか——

当たり前のようで当たり前じゃないから、とても大切で……

…………

あはは。説明へたくそでごめんね

……まふゆ、そんなに興味あるなら、 ちょっと一緒に歌ってみない？

ボクも、言葉にはうまくできないけど、 もしかしたら歌になら想いをこめられるかもしれないから

……わかった

オッケー。じゃあ、歌ってみよっか！ いくよ！

ふう……！ まふゆ、どう？　伝わった？

……何かを、感じたような気はした

え、ホント！？ 半分ノリで歌ってみようって言っちゃったんだけど……

でも、嬉しいな。 ちょっとはボクが思ってることが伝わったってことだし！

でも、それが何かはわからない。 わからなかったら、意味なんて……

そんなことないよ

さっき話した、ひとりのほうが みんなを強く感じるっていうのもそうなんだけど——

その感覚を、ボクもちゃんと言葉にできるわけじゃないんだ。 でも、あったかいって感じられる。 それが大事っていうか……

…………

あー、ごめん。 結局、うまく説明できなかったね

あっ、いた！ ちょっと瑞希、主役にいなくなられたら困るんだけど！？

うわー、怒りんぼに見つかっちゃった～

はあ？　誰のせいで怒ってると思ってんの？ 瑞希が休憩に行ったきり、戻ってこないからでしょ

あはは！　ごめんごめん。 パーティーが楽しくて、いろいろな気持ちに浸ってたんだよ

……そうなんだ。まふゆまで戻ってこないから、 もしかしたら迷子になってるのかもって、 みんなで探してたんだ

うん。ふたりとも、見つかってよかった……

そっか……。ごめんね、奏、ミク。 ボクが戻ろうとしないから、まふゆも一緒にいてくれたんだ

そんなつもりはなかったけど……

でも、歌にだってつきあってくれたでしょ？ ありがとね、まふゆ

……うん

ちょっと。私だって心配してたんですけど？

もー、ごめんってば～。 それにしても、よくここがわかったね

まったく……。 ミクが教えてくれたの

こっちのほうから、たくさんの想いを感じたから

ここに集まってるみんなの想いが、 わたし達を連れてきてくれた

そっか……

……たくさん集まってるね

……みんな、瑞希の誕生日をお祝いしに来てくれたんだって

え、そうなの！？ もー、それを早く言ってよ～

みんなー！　ボクのお祝いに来てくれたって本当？

おー！　本当っぽい！ 嬉しいなあ、ありがとう！

それなら、ここにいるみんなとも一緒にお祝いしないと

だね。みんな、いくよ！ 準備はいい？

せーのっ！

『瑞希、誕生日おめでとう』

おおー！　みんな、ありがとう！

みんなも、ありがとね！ すっごく嬉しいよ！

嬉しいから、もうひと声もらっちゃおうかな～？

もう、すぐ調子に乗るんだから……

あははっ！　だって、本当に嬉しいんだもん

みんな、改めてになるけど、 ボクの誕生日を祝ってくれてありがとー！

こんなにいっぱいお祝いしてもらったんだし、 病気とかしないで、元気いっぱいすごさないとね！

それじゃあ、またここで会おうねー！ バイバーイ