いっちゃん！ みんなもう集まってくれてるみたいだよ！

ほ、本当？　嬉しいけど……なんか、緊張してきた

珍しいね、一歌がこんな土壇場で緊張なんて

うん。一歌ちゃんって、前の日とかは緊張してる時あるけど、 ライブの前にはもう落ち着いてるもんね

だいたいそうなんだけど、 今回は私のためにみんなが集まってくれてるから……

あら、そうだったのね。 手、今も震えちゃってるのかしら？

それなら、私が止めてあげるよ。 一歌、手を出して

う、うん……。 あ……ミクの手、あったかい

でしょ？ そのまま目を閉じて、深呼吸してみて？

……すーはー

どう？

……うん。なんだか、すごく落ち着いたかも

よかった。じゃあ、もういけるね？

うん！　ありがとう、ミク。 いってくる！

みんな、私の誕生日ライブに来てくれてありがとう！

まず、今日歌おうと思ってる曲について話をさせてもらうね

少し前の話になるんだけど、 あるファンのきょうだいのために曲を作って、 ライブで歌ったんだ

あの時、そのきょうだいに 私達の曲が届いたっていう感覚があって——

『誰かの心に響く』っていうことがどんなことなのか、 ちょっとだけわかった気がするんだ

今日歌うのは、その、ちょっと成長できたなって 思った時にセカイで歌った曲なんだ

だから、みんなの心に響かせられるように 心をこめて歌おうと思う

ルカ、咲希、志歩、穂波—— 一緒によろしく！

ええ、任せて

アタシ達の、最高の演奏をしよーうっ♪

『うん！』

それでは聴いてください。 ——『オーダーメイド』

みんな、聴いてくれてありがとう！ えっと……どう、だったかな？

ふふ。しっかり届いたみたいだよ。 よかったね、一歌ちゃん

うん！

ふう……１曲歌っただけだけど、 たくさん想いをこめて歌うと、 １曲だけでもこんなに疲れるんだね

でも、きっと気持ちのいい疲れなんじゃない？

うん。——こんなにしっかり歌えたのは、 ミクが緊張をほぐしてくれたからだよ。 ありがとう、ミク

ふふ。私は先輩として、ちょっと手伝っただけだよ

じゃあそろそろ、みんなで一歌のお祝いをしましょ？ みんな、準備はいいかしら？

おー！

あれ？　咲希、何か後ろに持ってない？

な、なんにも持ってないよ！？ ねっ、ほなちゃん！

えっ！　そ、そうだね、持ってないかな！ それよりお祝いしなくちゃ！

うん。ミク、お願い

オッケー。 みんな、それじゃあいくよ！

一歌！　誕生日おめでとう！

『おめでとう！』

いっちゃん、おめでとー！ ——の、ドッカーンっ♪

わっ！！　な、何、今の音……！ って、星の紙吹雪……？

えへへ。ドッキリ、だいせいこーうっ☆

最後の最後、だいぶ無理やり誤魔化してたけどね

だって、いっちゃんがこっち見るんだもーん！

そんなこと言われても……。 それより、さっきのはなんなの？

あれは祝砲だよ。お兄ちゃん経由で るいさんに作ってもらえないか、お願いしてみたの！

そしたら、いいよーって！ ほら！　星形の紙吹雪も入れてくれたんだよ！

そうなんだ。 本当に、ドッカーンって音だったから、 何が爆発したのかと思っちゃった

あはは……。 知ってたはずの私達までびっくりしたもんね

そうだね

『あはは！』 『ふふっ』

みんな、改めてになるけど、 今日はライブに来てくれてありがとう

誕生日っていう節目に、 みんなの前で思いっきり歌えてよかった

私達、これからもたくさん練習して、 絶対にもっとうまくなるよ

あのライブハウスで、リベンジしなくちゃいけないしね

うん

次はきっと、ライブを成功させてみせる。 だから、応援してくれたら嬉しいな

それじゃあ、また歌を聴きに来てね

またね

ばいばーいっ！