それで……ふたりとも、 笑顔でさよならできたみたいなんだ

私達の曲が届いたからかどうかは わからないけど——でも、本当によかった

バイバイってお別れしてる時のふたりの顔、 すごく優しかったね

うん。あの感じならきっとふたりとも、 大丈夫なんじゃないかな

ふふ、その話を聞いて安心したわ。 ミクもそうよね？

え？　何、急に

だって、一歌達の曲がちゃんと届きますようにって、 流れ星に何度もお願いしてたじゃない

ちょっとルカ！ どうしてまたそういう……

ミクちゃん、そんなことしててくれたの？ ありがとう～！！

ミクちゃんがお願いしてくれたから、 ふたりもうまくいったのかもしれないね

そうだね。 ありがとう、ミク

あ……えっと、まあ、それならいいけど

また新しい曲もできたことだし、これから、 本格的に次の活動について考えていかないとね

次の活動？

うん。活動が軌道に乗ってきたから、 次はもっとたくさんのお客さんに知ってもらえるように いろいろ試していきたいなって思ってるんだ

へえ、それはおもしろそうね

そういうことなら、私達も協力するよ。 アイディアならいくつか出せると思うし

本当？　ミクちゃんがついててくれるなら すごく頼もしいね

私もどうすればもっとたくさんの人にみんなの曲を 聴いてもらえるか、考えてみようと思うわ

でも……

どんな手法をとるにしても、 みんなが今回みたいにしっかり想いを届けていけば、 聴いてくれる人も、自然と増えていくんじゃないかしら

……うん。たしかに、そうだね

想いを曲に乗せて届けるっていうことは、 絶対に大事にしていきたいな

……それなら、私も仲間に入れてもらってもいいかしら？

え？

みんなのライブの話を聴いてるうちに 私も一緒に歌ってみたくなっちゃって

あ、ルカずるい！ だったら私も……

あら、順番はちゃんと守ってちょうだい？

うん、次はミクちゃんも一緒に歌おう？

そうだね。 まぁ、別にいくらでも待てるけど

『ふふっ』

それじゃあ——準備はいいかしら？

うん！ みんな、歌おう！

——『オーダーメイド！』

ふぅ……

すごくいい音だったわ。 一緒に演奏していて、みんなの想いが伝わってきたもの

うん、私も感じたよ。 一歌達の想い

よかった……！

想いを歌にこめるって、すごく難しいことだけど……。 誰かに届くように歌い続けていきたいな

そうだね。 みんなで頑張っていこう

『おーっ！』

あ……そうだ、ミク

ん？　何？

あのね、私、今回のライブで 昔自分がミクからもらったものを 少しだけ届けられたような気がしたんだ

私からもらったもの？

うん。うまく言えないんだけど…… 悲しくて悲しくてどうしようもない時に、 そっと近くに来てくれる……あったかいものだよ

あったかい……

そっか……。私の歌でそういう風に 感じててもらえたなら、嬉しいな

あ、あとそれからこの前楽器屋で——

……やっぱり、これはいいかな

え？　今度は何？

あら。一歌ってば、私達に隠しごと？

え！ いっちゃん何か隠してるの！？

ち、違うって！ まだ話すほどのことじゃないかなって……

そう言われると余計に気になるんだけど

本当に大したことじゃないから……！

もう、一歌ったらつれないわね。 みんなも知りたいわよね？

あ……もう、みんなして、 嫌がってるのに無理に聞いちゃダメですよ？

ほ、穂波……！

あー！　ほなちゃんの後ろに隠れるのは反則だよ！

あーあ。あの時花乃ちゃんを助けたカッコイイ一歌は どこに行っちゃったんだか

そ、それとこれとは 関係ないでしょ！？

ふふっ。 よくわからないけど……みんなが笑顔で何よりだわ

うん、そうだね

さあいっちゃん！ 全部白状しちゃいなさい～！

い、嫌だってば～！