『どうして僕達が争わなくちゃいけないんだ！』

『父さん……お願いだ、僕は戦いたくないんだ！』

……うむ！　完璧とは言えんが、前に比べると いくぶん真に迫った演技になっているな！

さすがはオレ……！ またスターに一歩近づいてしまったか……！

どうだ！　お前達も、そう思うだろう！

あっ！　司くんだー！

あっちにいないから、遅刻したのかと思った

もう練習始めてたんだねー！

ああ！　トルペの公演が大評判だったからな、 この勢いを大事にしたいと思ったんだ！

司くん、絶好調みたいだね

ああ。公演期間中は特に冴えわたっていたよ

フッフッフ……。 今オレは、どんな役でもできそうな気分だ！

さあ類！　今までオレがやってこなかったような役を、 これからはどんどん持ってくるがいい！

おや、いいのかい？ それじゃあ、娘に裏切られて殺される王様の役とか——

う！　シェイクスピアのリア王か……！ ……い、今のオレならば演じきれるはずだ！

あ、そうだ～！ ねえねえ、司くん！

ん？　なんだミク

今までやったことのあるショーを、 もう１回やってみるのもいいんじゃない？

やったことのあるショーを？

うん！　今の司くんなら、 もっとキラキラなショーにできちゃうんじゃない？

たしかに……。 腕試しにもう一度、というのはいいアイディアだな

あたしもやりた～い！

では……初心に戻って、あれをやるのはどうだい？

ああ、あれね。 いいんじゃない？

今のわたし達でやったらどうなるか、 試してみたいな

よし、ならば決まりだ！ ミクも用意はいいか！

は～いっ☆

カイトは、そこで見ていてくれ。 客観的に、オレ達の成長を感じてほしいからな！

うん、わかったよ。 みんな、頑張って！

それではいくぞ！　新生天馬司が率いる、 ワンダーランズ×ショウタイムのショーをとくと見ろ！

『セカイはまだ始まってすらいない』！

見たか！ これが、ワンダーランズ×ショウタイムだ！

ハーッハッハッハ！！

『ハーッハッハッハ！！』

はは、みんなお疲れさま。 すごく盛り上がったね！

ありがとう。ところで……司のやつ、テンション すごいことになってない？ えむとミクもつられていつもよりテンション高いし……

みんなの声援をもらって ますます調子がでてるみたいだね。司くんらしいな

僕も、ワンダーランズ×ショウタイムの演出家としても、 未来のスターの演出家としても、もっと頑張らなくちゃね

うん。 ……変な方向には頑張りすぎないでよ？

ああそうだ！　すっかり伝え忘れていたが、 お前達、次の週末にうちにこないか？

え？　行きたい行きたーい！

別にいいけど……何かあるの？

実は今度、咲希と一緒に、 ピアノの発表会をすることにしたのだ！

ピアノの発表会？

ああ。オレ達はどちらも母からピアノを習っていたんだが、 発表会のような行事に出る機会があまりなくてな

そこで！　トルペの公演が大好評のうちに終わったお祝いに、 発表会を開くこととしたのだ！　一歌達や冬弥も来るぞ！

わ～！　楽しそう～！！ 行こう、寧々ちゃん、類くん！

だね。家で発表会やることなんてあんまりないし、 ちょっとおもしろそう

ミクも行きたーい！！

そうだね。 じゃあ、またこっそり覗かせてもらおうか？

やったー！！

では、週末に我が家に集合だ！ 遅刻は厳禁だからな！

『はーい！！』

しかし……今回のショーでは、本当にたくさんのものを 得ることができたな

役者としての演技力はもちろんだが……。 スターとして大事なことを、実感できた気がするな……

うお～！！ やる気が湧いてとまらんぞ～！！

うるさっ！

みんな！　これからオレ達は、 更なる素晴らしいショーを作っていくぞ！

楽しみにしているがいいっ！！

フフ、我らがスターはやる気十分だね

それじゃあ——次のショーのアイディアを 考えていこうじゃないか！

『おーっ！』